Introduction
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田中みぎわ墨と水の絵を紹介するページです。
右のカテゴリより各テーマにお入りください。


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展覧会のお知らせ
(*以下の展覧会は終了いたしました。ご観覧いただきました方々、誠にありがとうございました。)
展覧会の風景写真はこちらです。

個展の初日にお話したアーティストトークをギャラリーのHPに掲載して頂きました。




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「耳を澄ませば月の音が聴こえる」


2018年5/19(土)~6/4(月)

11時〜19時
火曜日・祝日休廊

5/19(土)14時〜 アーティストトーク

銀座ギャラリー桜の木




















(*以下の展覧会は終了いたしました。ご観覧いただきました方々、誠にありがとうございました。)
展覧会の風景写真はこちらです。


2018年1月13日(土)〜2月18日(日)

「クインテットⅣ 五つ星の作家たち」

アーティスト・トーク
1月13日(土)午後二時〜 船井美佐・室井公美子・田中みぎわ
1月20日(土)午後二時〜 竹中美幸・青木恵美子

休館日:月曜日(ただし2月12日は開館、翌13日も開館)
開館時間:午前10時〜午後6時 *入館は午後5時30分まで
観覧料:一般600円、大学・高校生400円、中学生以下無料
身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳を提示のご本人とその付添人一人は無料。
被爆者健康手帳を提示の方はご本人のみ無料。

損保ジャパン日本興亜美術館
〒160-8338 東京都新宿区西新宿1-26-1
03-5777-8600(ハローダイヤル)



今までの絵に加えて、近作の生紙(きがみ)に描いた小品まで、
2004年〜2017年の絵を展示しました。


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Top▲ | # by migiwa_blog | 2018-02-18 00:00
アーティスト・トーク

「アーティスト・トーク」


損保ジャパン日本興亜美術館にて展覧会をさせていただきました。
(2018年1月13日〜2月18日)

初日にはアーティスト・トークをさせていただき
スライドを使って絵のことについてお話をしました。
その内容をこのページで再現します。
(当日はお時間が限られたなかでのお話でしたので、ここでは少し内容を足した部分もございます)


<トークの音声はこちらへどうぞ>


●はじめに

私は雲や空や水面など自然の風景を、墨と水で描いています。

もともとは東京出まれで、都会の中で育ちましたが、
小さい頃の祖父母の家での体験なども手伝って、
空が広く、山が見え川が流れる、自然を感じるところがとても好きでした。

今まで、いろいろな場所に住み絵を描いてきましたが、
今日はどんなふうに絵が生まれてくるかを「風景→スケッチ→絵」の順番にご紹介します。

「雲・雨・海・川・月」の順番で、モチーフ別にお話いたします。




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1. 雲 (心を映す)

学生時代から風景をずっと描いていましたが、
あるとき雲を描いて、なぜか「雲は私の心だ」と強く感じました。
それ以来、雲をよりたくさん描くようになりました。

そして、幼少の頃からの憧れであった広い透き通った海
南方の、沖縄本土のそのまた先、八重山諸島の石垣島に長く滞在し、キャンプ生活を経験しました。

ダイナミックな雲と空を目の当たりにし、
「旅行で少し行ってスケッチして帰ってくるのではなく、
住んでその場所で生活し、そこから溢れるものを描きたい!」
と思うようになり
卒業したのちに、家財道具一式を軽自動車に詰め込んで、
船で石垣島に渡りました。




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石垣島での生活では、毎日、特に光りと色の綺麗な夜明けと日没にスケッチをしていました。

日没になると、風や波がぴたりと止まる時間が訪れます。
いままで波だっていた水面も鏡のように静かになります。
そんなとき、私の心にも静寂が訪れました。

日々の生活でざわざわとした波だった心が静かになります。
心の中に詰まっていた考えや悩みなどが少し静かになり、
そして、奥深く、海の底へ潜っていき、
底に沈む光る貝の中の真珠を見つけることができる時間です。

「何を加えても心の中に神は見つからないが、引き算の過程では見つけることができる(エックハルト)」

という言葉がありますが、神とは何でしょう。
私は心の中にある「感じる心」だと思います。

一日に一度の静かな時間をもつことの大切さをこの島で気付き、
今もその時間(スケッチ)を日々持って過ごしています。




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やがて夜が寄せてきて、闇が訪れます。
月のない夜や曇りの日には、完全な暗闇に包まれます。

都会では、夜中でも完全な闇になることはありませんね。
いつもどこかに明かりが灯っています。
そして、空の雲にはネオンが反射して夜っぴて明るい空ですよね。

闇というものを初めて経験したところ、それは、暖かい隣人でした。
そして、意外なほどに深く眠ることができました。
夜の闇が落ちつく、親しく温かい隣人に気づいたことも
島での経験のひとつでした。




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そして、私が現在、墨で描いている理由がこの島での体験にありました。

あるとき、東の空に、残照に紅く燃える雲を見ました。
まるで燃え上がるような輝く雲です。
その強烈な印象に、(私は日本画出身で、そのときまでは色をつかって描いていたのですが)
色で表現しきれないものを感じました。

赤い雲だからといって、赤い絵具で描けば良いものではないんだという、
私なりに色をつかって描くことに対する限界を感じました。




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どうしたら良いかなと、アトリエでパラパラとスケッチをめくっていました。

私は制作の基本はスケッチです。
というより、ただスケッチが好きでたくさん描いている、と言えます。

スケッチはどんどん流れ形を変える雲を素早く捉えるために、木炭で描いています。
ですので白黒のモノトーンでした。

そのスケッチを見たときに、ふと、むしろ色をつかったものよりも、色を感じると思いました。

強烈な光の輝き、海から寄せてくる温かく湿った風、どこからともなく感じる甘い潮の香り・・・
「目で見た色」ではなく、「五感で感じた色」だったのです。




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もともと、日本画の下絵として墨で風景を描いていました。
ですので、墨の上に色の絵具を乗せるのはやめて、
このまま墨だけでいいんじゃないかな?と思いました。




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いざ墨で雲は波を描いてみると、
流れたり染み込む表現が自然を表すのにぴったりだと感じました。

また、墨は思わぬ方向に流れてしまったり、思わぬような滲みを作ってしまったりと、
偶然性を伴います。
その偶然性は面白いのですが、そればかりで描いてしまうと、
偶然性だけで描いた絵だとわかってしまいます。

まず自分の中に確固たるイメージをもつことが大切だと思います。
私なりに具体的には、スケッチを繰り返すことにより、
心の中に風景が出来上がってきます。

そのイメージと、偶然性(身をまかせる)との対話によって出来上がっていくのが、
墨の絵の魅力だと感じています。




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さて、石垣島に滞在したのはわずか一年半の間でしたが、
大変密度の濃い時間でした。

数々の風景が見せてくれた強い印象に、
まるで私の心の一部分を島に置いてきてしまったような気がします。
そしてその一部分が私を呼ぶのです。

また、日々、感情的な雲を眺めることにより、
自分の心を直視したように感じました。裸の心を見たのです。
突如として自分の心に向き合った私は、
少しつかれを感じ、休みたいと思うようになりました。




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2. 雨 (親しい隣人)

東京へ戻ってきました。

東京では雑木林の多い多摩川の近くに住み、
樹々や水辺を求めてスケッチをしました。
とくに人の居ない雨の森に親しみました。

やがて、むき出しだった心が
雨のベールで和らいでいくのを感じました。
その経験からか、私は雨がとても好きになりました。




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窓にコツコツと音がします。
誰かきたのかな?と首を伸ばします。
静やかな足音がそっと忍び寄ってきます・・。

雨は、たまらなく懐かしく親しい、隣人の来訪です。

今日も私は雨に話しかけます。
雨は静かに、その沈黙をもって、やさし包み込み
懐かしい土地の匂いを運んできてくれます。




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雨が野に山に畑に降り注ぎます。
そして地面染み込んでいきます。

人の心の細かいひだの内にも
ゆっくりとやさしく浸透していきます。




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その温度と湿度をもって胸に抱いてくれるようです。
とくに孤独感を感じているときなどは、
それがやわらいで溶けていくのを感じることができますね。




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霧雨も大粒の雨も、
その雨のリズムは風景と交響曲のように調和していますね。
私たちが日常でいつの間にかぶれてしまった心の軸を、
まるでメトロノームのように、
コツコツコツ・・・と、
雨音は心の軸を中心に戻す働きをしてくれると感じています。




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3. 海 (漕ぎ出すこころ)

今回突き当たりの壁に掛けてある、一番大きい絵についてお話します。

これは屋久島でスケッチを描きました。
屋久島は杉や登山で有名なところかもしれません。
私は、その島の周囲を取り巻くたくさんの港にある堤防に魅了されました。

珊瑚礁に囲まれ、リーフエッジのある石垣島は鏡のような海でしたが、
屋久島の周囲はすぐ外海になるようです。
そのため波が荒く、とても大きい堤防が港を守っています。

海面から堤防の上まで8〜9メートルもあるような高い堤防があり、
その先端にいくとすぐ眼下に生きたうねりを見ることができました。
本当に、生きているのです。
水の粒子がひとつぶひとつぶ、生きて意思をもって動いているようなのです。

その先端にたち風を受けていると、
舟の先端にたち航海をしているような気分になります。
堤防は格好のスケッチ場所だったのです。




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その堤防の上で何を描いていたかというと、こんな風景でした。




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海の上を大きな雲が、雨と光の足を従いながら滑っていきます。
その様子を360度体感しながら描いていきます。




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やがて、その大きな雲は頭上で雨を降らせ、西に去っていきました。
その一連の様子は、まるで大きな神様の手のひらが、海をなでていくようでした。




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堤防からのスケッチです。




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そんな風景をもとに描きました。




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4. 川 (故郷へ帰る道)

川はとくに好きなモチーフであり、
きっとみんな川を身近に感じていることだと思います。
ちょっとつかれたときは、海よりも、山よりも、川辺を歩くのが良いようです。
なぜでしょうか・・・?

それは、歩く速度と同じようにゆっくり流れ、
日々の生活と同じようにゆるやかな蛇行を描いているからだと感じます。
川の流れは身近で生活に寄り添っているのですね。




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この川は、わたしの故祖父母の家のある土地
熊本の盆地を流れる川です。
広くてゆったりとした川がいくつも流れているところです。




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スケッチをもとに何枚も川の絵を描いています。
九州の山並みは、とてもなだらかに感じます。




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羽田から熊本行きの飛行機に乗り、眼下をみていると、
関東の方は、アルプスや、何か尖った三角のような山が連なっているように思います。
それが九州大陸に入ったとたん、がらりと山の形が変わります。

裾野がとても長く広く、まるで海原のような山並みを感じます。
九重連山、阿蘇五岳・・・
上から眺めていると、まるで海の上で帆をあげて出航するような、
そんな感じを抱きます。




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血潮をあげる阿蘇中岳。
まるで生きて熱と心を持っているんだと感じます。




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大地のどくんどくんと心臓を打つ音が聴こえてきます。
「地球が生きている」と実感できる、
それが九州の、熊本の大地だと強く感じています。




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阿蘇から西に50キロほど離れた、広く見渡せる空を抱く盆地
それが故祖父母の家のある土地です。
ここの空の広さをどんなふうにも表現することはできません。
ただもう、厚い大気を胸いっぱいに抱きます。
ここはそもそも私が絵を描くようになった動機の生まれた土地なのです。




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おじいちゃん、おばあちゃんに会いに、
小さい頃から母の里帰りのたびに手を引かれ、
春休み、夏休みと連れていかれた場所でした。

豊かな自然のなかで過ごした日々が、
私の人生のはじまりになっているのではないかと感じています。
それは、お弁当をもっては裏山へ登り、夏は川で泳ぐ日々。

暑い日の昼下がり、空は山の向こうからやってきた黒い雲にまたたくまにおおわれて・・




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激しい雨と雷がやってくるのです。

どこまでの広がる田園に、
ただならぬ顔をした空が一面鏡のように映し出されます。
天にはじけるような音が鳴り響き。
落雷にずしんと地面がうなります。




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熊本の天気はとても激しく、
まるで空の上に怒りっぽい神様がいるように感じました。
都会育ちの幼い私は、そんな毎日の不思議な現象に心ふるえました。
目に見えないものがこの世界を司っているということを全身で感じとった最初の時であり、
恐怖に震え、荒れ狂う嵐の美しさに心から尊敬の気持ちを抱いたのです。




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この土地に流れる、こんこんと水を豊にたたえた、ゆったりとした広い川。
日が暮れていきます。
太陽が地平線に沈むと、
それでもうほとんどの人が帰ってしまって残念なのですが
実はここから、さらに空の七変化がはじまります。




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一度、地平線近くが赤く燃え立つような色に染まります。




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そして、地平線近くの空はグラデーションを様々なパターンに変えながら、
少しずつ光を失っていきます。




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最後の青闇のなか
川筋がその本来の姿を見せるように、白く光り浮かびあがります。

そのとき、すべてがつながります。
この世界のすべてがつながっていると感じ、
腑に落ちる瞬間がやってくるのです。

そしてそれは壮大なひとつの世界になります。
耳を澄ませてください・・・
大地が低い音で呼吸しはじめるのが聴こえてきます。

わたしたちは、温度を持った大きな生き物の上にいるのです。
大地はゆっくりと根を張り、
隅々までを潤すために透き通った水の道を通していく、
まるで血脈のようにです。




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川のスケッチです。




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屏風仕立ての川筋の絵。
厚みのある大気を胡粉で描きました。




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5. 月 (月の唄が聴こえる)

最後は月のお話です。

今回、お月様のちいさな絵を数点展示していますが、
これは一番近作であり、今までとは使っている紙が違うので
そのことに少し触れたいと思います。




今までの絵は、全て滲み止め加工をされた紙を使って描いていました。
いわゆるドーサ引きの紙です。
ドーサとは膠と明礬を水に溶かしたもので、それを紙に塗布することにより、
滲み止めの効果がもたらされます。

ドーサが効いた状態になると、水や墨が紙の途中でとまり
(どのくらい滲むかはドーサ液の加減によります)
下まで染みていきません。

今まではその滲み止めを施した紙をパネルに張り込み、
田んぼに水引きをするように、水をたっぷり塗布します。
そうすると、下まで染み込んでいかないので、湖のように水が溜まります。

そこに墨を垂らしたり流したりして、
パネルを動かして雲や水面や雨の表現をつくっていました。




新たに描いている紙は、漉いたままの紙「生紙」(きがみ)です。
水を塗布すれば下まで染みていきます。

ところで私たちのまわりにある印雑物などは
ほとんどが滲み止め加工がなされていると思います。
滲み止め加工のない紙を例えていうならば、
身近なところでは、障子紙や、小学生の時に習った書道の紙、などでしょうか。
染みていきますから下に毛氈(フェルトのようなもの)を敷きますね。




この生紙を使うようになったきっかけですが、
近年、紙の保存の問題が浮上してきていると思います。

このことについて触れるととても長くなってしまうので省きますが、
「より長持ちする紙で絵を描きたい」と思い始め、
二年程前から紙の探索をはじめました。

遅いかもしれませんが、
絵を描いていると、常に「描く」ということに全部の気持ちが集中していて、
なかなかそれ以外のことには気持ちが向きません。

問題が浮上したときが自分の転換期であり、
そのときに全てを注いで勉強するのが一番のタイミングなのだと思っています。




それで日本画材店、紙の専門店、また紙漉き職人さんにお話を伺い、
遠いところだったらお電話で伺い、
幸いにして様々な紙に触れることが出来ました。

その中でようやく、自分の好みと用途にあう楮紙を
いくつかピックアップすることが出来ています。




そして漉いたままの紙の美しさを知りました。

しなやかであり、薄いのに大変強度があり、
素朴な懐かしいような楮の風合い、天日干しの板目の心地よさ、
そして楮の産地により、
または楮のへぐり具合というのか、
様々な紙の色の違いがあります。

そして気に入った紙にドーサを塗布して描こうと思ったのですが
そうしたところ、
せっかくの風合いがいくらか損なわれると見てとりました。
もったいないなと思いました。
それで、これは生のままで使いたい、と思うようになりました。



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生紙に描きたい、と思ったものの、いままで全く経験がありません。
自然から直接教わるのが良いだろうと思い、
自然の中でそのまま描くことにしました。

つまり、今までは
「風景→スケッチする→アトリエで描く」でしたが、
「風景→そのまま見て描く」になったわけです。




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紙は薄くて早く乾きやすく、風に飛んでいってしまうので、
具体的な方法としては
車で水辺のぎりぎりまでつけることの出来る場所を探し、
車の中で墨や紙を広げて描いています。

または、窓から海や湖沼の見える民宿を探してそこで描くことも度々あります。




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最初に「生紙に親しめたかもしれない・・」と思ったのは、
月を描いたときでした。

やはり熊本の、東シナ海につきでた天草という大きな半島があります。
その先端に、牛深という場所があり、
そこで海に面した高い場所にある民宿を探しました。

その夜はちょうど満月でした。

満月のときは、月は宵に東の海から登り、
明け方に西の海に沈んでいきますね。
部屋には東と西に大きな窓があり、
月の出から入りまで一晩中眺めることが出来ました。




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一晩中お月様を描けるなんてなんて幸せな状況だろう!と思い、
窓から一晩中お月様を描いていました。

ずっと月を眺めて描いていると
その光の粒子が大気をゆっくりと広がっていくのがわかります。

そして、海、山、私達のからだ全体に・・・
その光の粒子がゆっくりと染み込んでいきます。

そして、紙の上にもゆっくりと月の光が広がっていきました。
それは、紙の繊維の自然な滲みに寄り添っていました。
そのときはじめて、
「生紙に親しめた」と思ったのです。




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このとき初めて月の音も聴きました。

唄といってもいい、細い細い銀色の旋律でした。

まるでアジアの弦楽器のような、ふるえるような細い音。

耳でなく、胸の中心か、皮膚に触感的に聴く感じ。

そして、ああやっぱり月は唄うんだなと思ったのです。

(月の音は、聴く人それぞれに、違う音で聴こえるのではないかと思います。)




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月の光の広がりを追っていると、
たとえば、紙の上に墨が二重に広がったとします。
そうしてふと空を見上げると実際にも光の環が二重に広がっています。

そんな、月との呼応(対話)も楽しみながら描きました。




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今は、神奈川県西の自宅の近くである丹沢湖や富士五湖に
月夜には車で湖のそばに行って描いています。
人のいない湖のはじっこの場所を選んでこっそりと描いているので、
「怖くない?」と言われることもあります。

最初はちょっと怖かったのですが・・・

慣れてくると、夜の山が両手を広げ迎え入れてくれるのを感じるようになります。
むしろ、お帰りなさい、と家に帰るような気持ちです。
そんな温かく見守ってくれる山の懐で、
神の懐で、守られ安心しながら、描いているような気がします。




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やがて、自分の胸の中にも月があることに気付きます。
やさしい光で心の中の暗闇をすみずみまで照らしているのです。

人と話していて、この人は山のようだなあ・・とか、
野原の匂いや、
ふと、その人の中に青い水脈を感じたり、
そんなことがありませんか?

人には誰しも
心の中に、草木、川の流れ、海、空、山、太陽や月をもっており、
それが、外の世界の風景に呼応するのだと感じます。
お互いが呼び合うから、
私たちは自然に惹かれるのではないでしょうか。




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最後にお月様を照らしている太陽のことについて
少し触れさせてください。

やはり熊本の川です。
この場所は寒い時期になると、大変濃い霧が発生します。

このように、川を辿って霧がやってきて、川を辿って去っていくのです。
その中で、どんな風景が見えるかというと・・・




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これです。

霧の中を太陽が登ってくるその姿を見つめることができます。

普段はまぶしくて直視できないお日様も、
霧のなかではその輪郭をくっきりと現します。




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そして、光の粒子が霧の中をゆっくりと広がっていくのがわかります。
その粒子は一粒ひとつぶが生きていて、
生命を持っていると感じます。




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それを著した短い文章を引用します。

「私はそのころ太陽というものに生命を感じていた。
降り注ぐ陽射しの中に無数の光輝く泡、
エーテルの波を見る事が出来たものだ。」


(坂口安吾 風と光と二十の私より)

私たちは太陽から様々な恩恵を受けていますが、
その光からも、直接生命の源を
受け取っているのではないでしょうか?




●おわりに

私は風景の中で絵を描いたりスケッチをしているとき、
意識が自分の枠から抜け出てどんどん広がっていくのを感じます。

わたしは目前のみなもであり、遠くの木々であり、
彼方の山であるように感じます。

大地はわたしであり、わたしたちは大地であると感じるのです。

しかし当初はそのような感覚は、
スケッチをしている時だけの瞬間的な特別なものだと感じていました。
本当は私たちは沈黙したバラバラの存在であると・・。

しかしそのつながりの瞬間を何度も感じ、
雲と対話し、雨音や冬の枯れ枝が語りかけ、
月が古今東西の物語を語ります。

本当は、自然界のすべては生きて魂を持ち鼓動しつながっているのではないでしょうか?
私たちは自然の一部分である。
私は世界をこういう様に感じ、絵を描いています。








ありがとうございました。
















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プロフィール/画歴
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 「雨空を映す大きなみずがめ」 62.5×150(cm) 2013年


「女王はいならぶおのれの貴族たちに目を細めるが、
用心深い「自然」は、
宮廷や都会、谷や岡に照らしておのれの同族を見わけ、
恋する者のようにわが身を捧げ、
おのれの息子に対しては、たった一度の森の散歩で、
たとえば学者が十の十倍も散歩を重ね
鏡を使っても見つからぬほど、宝物をふんだんに、
しかもむだなく、惜しげもなく与えてくれる。」

エマーソン「ソーロウ」より冒頭部分



「生きることと感じることはひとつだからです
...生きることの強烈な喜びを否定することは、
すなわち、身体と魂と霊に流れるエネルギーを感じる喜びを否定することは、
生命の否定にほかなりません。」

パスワーク



「何かをする前に、あなたの選択がわたしのそれと一致しているかどうか、わたしに聴いてください。
もし、一致しているという確信があなたにあれば、恐れはないでしょう。」

「恐れは、実際には無であり、愛がすべてです。」

奇跡のコース





石垣島・屋久島・熊本など各地に長期滞在しながら絵を描いてきました。
自分のまわりを包むやさしくて壮大で果てしない自然に身も心もゆだねる、私はまるでその自然の一部分でありたいと感じます。湿気をたっぷり含んだ自然の風景に圧倒的な生命力を感じ、自然に溶け込みそして魂の水脈に触れるのです。




履歴

1974年  東京都武蔵野市に生まれる
1999年  東京藝術大学大学院美術研究科修士課程日本画専攻 修了
1999年〜2000年  沖縄県石垣市に滞在
2003年〜2005年  熊本県菊池市に滞在
2005年〜2007年  東京都武蔵野市に滞在
2008年〜2010年  神奈川県茅ヶ崎市に滞在
2010年  神奈川県南足柄市に自宅兼アトリエを開設
神奈川の自宅と、故祖父母の家のある熊本を、制作の拠点とし現在に至る。



個展 (>>)
美術館 (>>)
グループ企画展 (>>)
受賞 (>>)
作品収蔵 (>>)
雑誌・新聞・メディア掲載 >(>>)



個展

1998年  「無に近づく空」 G-ART GALLERY/東京
1999年  東芝府中ESギャラリー/東京
2000年  G-ART GALLERY/東京
2001年
      時限美術計画/東京
      「望郷の海」 G-ART GALLERY/東京
2003年  「田中みぎわ1999-2003」 23GALLERY/東京(同年再)
2004年  永井画廊/東京
2005年  アートガーデン/岡山
2006年
      第一生命ギャラリー/東京
      永井画廊/東京
      「奏でる水面」 ギャラリー白石大丸心斎橋店特選ギャラリー/大阪
      くまもと阪神美術画廊
2007年
      「さんざめく野の予感」銀座ギャラリー桜の木/東京
      「ー雲と空と水になるー」INAXギャラリー/東京
2008年
      「ーこころの舟を出すー」 大丸東京店アートギャラリー
      「ーこころの舟を出すー」 大丸心斎橋店特選ギャラリー/大阪
      「森の客間 ー谷中の奥書院ー」Gallery Jin/東京
2010年
      「ー水の音が聴こえるー」 銀座ギャラリー桜の木/東京
      「雨の扉」 第一生命ギャラリー/東京
2014年
      「天つ空を映す水がめ」 銀座ギャラリー桜の木/東京
      「大地逍遥」 表参道画廊/東京

美術館

2002年 「墨戯ー魅惑の水墨画」岡山県立美術館
       「トリエンナーレ豊橋」豊橋市美術館/愛知 ('05 野地耕一郎推奨)
2003年 「美術館ワンダーランド自然のなかで」豊科近代美術館/長野
2005年
      「GAIA'05」熊本県立美術館分館
      「VOCA展2005」 上野の森美術館/東京
2006年  府中市美術館公開制作「私は自然の一部分でありたい」府中市美術館/東京
2008年
      「ピクニックあるいは回遊展」熊本市現代美術館
2009年
      「光と光が出会うところ 府中美術館近年の収蔵作品ー現代美術を中心に」府中市美術館
      「現代の水墨画2009 水墨表現の現在地点」富山県水墨美術館, 練馬区立美術館(二館に巡回)
      「PIANISSIMO 田中みぎわ/留守玲 展 -冬の浜辺から-」茅ヶ崎市美術館
2013年
      「空もよう・色もよう・心もよう 気象と芸術」北海道立釧路芸術館
      「花鳥風月 花と緑の日本画展」北海道立釧路芸術館
2014年
     「フィールド・リフレクション展」川口市立アートギャラリー・アトリア
2018年
     「クインテットⅣ 五つ星の作家たち」損保ジャパン日本興亜美術館


グループ企画展

1998年 「新生堂公募展」新生堂/東京
2001年 「グループホリゾント21」ギャラリー白石/東京 ('02)
2005年
      「銀河の会」大阪近鉄百貨店/大阪 ('07)
      「現代水墨画作家展」
      池袋サンシャインシティ/東京, '07より国立新美術館/東京 ('06) ( '07)
2006年
      「Millenniumの星」
      西武池袋本店/東京 ( '07) ( '08), そごう心斎橋本店/大阪 ( '07) ( '08) ,そごう神戸店/兵庫
      「Small Works 2006」Gallery Jin/東京
2007年
      「ART Shanghai 2007」上海世貿商城/上海
      「新しい芽の会」日本橋髙島屋/東京
      「EAST −美の流星群−」東邦アート/東京
      「東京コンテンポラリーアートフェア2007」東京美術倶楽部
2008年
      「開廊10周年記念展」Gallery Jin/東京
      「しつらい/2008 」Gallery Jin/東京
2009年
      「墨の仕事」展(ギャラリー桜の木軽井沢/銀座) ( '10)( '11)( '12)
      「WON=DER」展(神奈川県藤沢市さいか屋)
      「新美会」(新宿高島屋)
      「虹の会」(天満屋広島八丁堀店/天満屋広島アルパーク店/高松天満屋)
2011年
     チャリティーアート展(ギャラリー桜の木軽井沢)
2013年
     遥かなる山の呼び声展(ギャラリー桜の木銀座)
2014年
     安藤郁子/田中みぎわ「森・水・空 ─ 響き合う心 ─」(銀座三越8階アートギャラリー)
2015年
     小さい画展(ギャラリー桜の木銀座)
2016年
     墨の仕事展(ギャラリー桜の木銀座)
     Under 50展(ギャラリー桜の木銀座)

受賞

1995年  安宅賞
2005年  府中市美術館賞

作品収蔵

2006年  北海道立釧路芸術館 「天国の門」(2000年制作)
2006年  府中市美術館 「風のきよら」(2004年制作)

雑誌・新聞・メディア掲載


2002年  月刊美術
      アートトップ「日本画形系展覧会雑感」

2003年  美術の窓4月号「新人大図鑑」
      UP/東京大学出版会「連想日本美術史22」

2004年   信濃毎日新聞「美ここから」
      美術の窓4月号「新人大図鑑」
      熊本日日新聞「表現する理由」
      趣味の水墨画5月号
      アートトップ

2005年  熊本日日新聞
      新美術新聞
      山陽新聞

2006年  毎日新聞

2007年  美術の窓4月号「新人大図鑑」
      アートトップ2007年9月号 (特集・宮沢賢治より)
      熊本日日新聞

2008年  連載「画想を練る—創作への道しるべ—」月刊趣味の水墨画2008年11月号〜2009年4月号
      趣味の水墨画2008年6月号「若手作家の水墨表現はここまできている」
      FMくまもと出演
      アートトップ2008年1月号

2009年  趣味の水墨画「20作家による水墨の神髄」2009年11月号
      美術の窓2009年6月号「新人大図鑑2009」

2010年  新美術表現と鑑賞/発行:開隆堂(美術の教科書)
      j:com湘南(湘南地区ケーブルテレビ)「いきさき、ちがさき」出演
      レディオ湘南(FM83.1)「GOOD MORNING 湘南」出演

2013年  北海道新聞釧路版

2014年  熊本日日新聞(4/4文化面)

2014年  月刊水墨画9月号









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三角港にて Photo by Taiyo Nakada






































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Top▲ | # by migiwa_blog | 2016-12-30 00:00 | プロフィール/画歴
日輪




☽日輪と月と小夜時雨のシリーズは、生紙(きがみ、滲み留めを施していない生のままの紙)に描いています。私は、2016年の春頃から二十年以上続けてきた木炭スケッチと、それを参考に滲み留めの紙に描くことをお休みし、風景のなかで直接、墨で手漉きの生紙に描くことを始めています。それは、滲み留めのない生紙に描くことも制作のうちに取り入れたくなったから、そして描き方を自然の風景から直接教わるためです。今までの様に、滲み留めのある紙の上で、水と共に墨を流しながら描くことも続け、やわらかい生紙の上で、水と墨を自由に泳がせて描くこともしたい。どちらも続けていきたいと思っています。







冬の河原は、一面の霧の雲海に包まれている

霧の世界を登る日輪をみる



慈愛ある瞳がまぶたに浮かぶ

それは温かさと光と熱をもってまぶたに浮かぶ



目を閉じても光を感じる

その光輪が

まぶたに、胸に、心に、魂に焼き付いている





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題名未定 17.5×25(cm) 2017年




















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玉響(たまゆら) 12.5×35(cm) 2017年




















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玉響(たまゆら) 12.5×35(cm) 2017年








































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Top▲ | # by migiwa_blog | 2016-12-16 00:00 | 日輪
月の音が聴こえる

初めて月の音を聴いたなと思ったのは、牛深(天草の先端)に泊まり、一晩中月を描いていたとき。

部屋の東側と西側に大きな窓があって、月の出と月の入をどちらも眺めながら、窓から描くことができた。

ちょうど、たまたま満月か満月に近い月齢だった。

夜中に月の光を描いていて、紙に、月の光がどんどん広がっていって、

初めて生紙(きがみ)に親しめた気がした。

このとき初めて月の音も聴いた。

月の唄といってもよいような細い細い旋律の音。

耳ではなく、心でもなくて、皮膚のような、側頭部で触感的に聴く感じ。

すごく細い旋律で、普段は耳では聴いたことのないような感覚だった。

そのとき、ああやっぱり月は唄うんだなと思った。

それから、初めて生紙に描けたと思って、今までのモチーフに加えて月を描くようになった。






☽日輪と月と小夜時雨のシリーズは、生紙(きがみ、滲み留めを施していない生のままの紙)に描いています。(月は最初の二点のみ滲み留めの紙を使用)私は、2016年の春頃から二十年以上続けてきた木炭スケッチと、それを参考に滲み留めの紙に描くことをお休みし、風景のなかで直接、墨で手漉きの生紙に描くことを始めています。それは、滲み留めのない生紙に描くことも制作のうちに取り入れたくなったから、そして描き方を自然の風景から直接教わるためです。今までの様に、滲み留めのある紙の上で、水と共に墨を流しながら描くことも続け、やわらかい生紙の上で、水と墨を自由に泳がせて描くこともしたい。どちらも続けていきたいと思っています。





耳を澄ませば月の細い銀の唄が聴こえる

遠い日の子守歌だ







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月の音が聴こえる 21.1×14.9(cm) 2015年










遠い日のむかし話

月は語る

過去から未来まで様々な話を

車座になって皆で語る

あたりはまるで風の音しかしない

ときおり夜の鳥がつんざく鳴き声が

夜の湖水に響きわたる

夜長の月の話である




















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月夜の懐 17.5×25(cm) 2016年




















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遠い日の子守歌 17.5×25(cm) 2016年




















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旅人のこころ 17.5×25(cm) 2016年




















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月と呼吸 12.5×35(cm) 2017年





















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月と呼吸 12.5×35(cm) 2017年





暮れゆく空の雲の色に
自分のこころを重ねてみる

静かな みなもの真ん中で
ひとりオールを漕ぎながら
小舟に浮かび 海へ漕ぎ出す。

潮の匂いを嗅ぎ
新しい月を眺めながら
懐かしい場所へと帰っていく

やがて寄せる夜
波間に抱かれ
ゆらりゆらりとねむりにつく




































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Top▲ | # by migiwa_blog | 2016-12-15 00:00 | 月の音が聴こえる
湖水のこころ




☽日輪と月と小夜時雨のシリーズは、生紙(きがみ、滲み留めを施していない生のままの紙)に描いています。私は、2016年の春頃から二十年以上続けてきた木炭スケッチと、それを参考に滲み留めの紙に描くことをお休みし、風景のなかで直接、墨で手漉きの生紙に描くことを始めています。それは、滲み留めのない生紙に描くことも制作のうちに取り入れたくなったから、そして描き方を自然の風景から直接教わるためです。今までの様に、滲み留めのある紙の上で、水と共に墨を流しながら描くことも続け、やわらかい生紙の上で、水と墨を自由に泳がせて描くこともしたい。どちらも続けていきたいと思っています。






雨上がり
山裾から雲が沸き立っていく

静けき湖面には
霧がそっとしのび寄る

森はその眼をそっととじて
親しき隣人の訪れに
懐かしさを感じている

森全体が深く呼吸している
水を含んだ土がふくいくと香り立つ

山がたっぷりと水を蓄え
その喜びの声が聴こえてくる









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湖水のこころ 225×17.5(cm) 2016年




















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寄せる夜 11.7×25(cm) 2017年



















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故里の灯 12.5×35(cm) 2017年








































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Top▲ | # by migiwa_blog | 2016-12-14 00:00 | 湖水のこころ
春霞 こもれび




遠い水の音

かすかの春の匂い

ひよどりが早春のあけぼのを告げにきます

しっとりした肥料を含んだ土の匂いもします





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春障子 100x65.2(cm) 2009年 










春の始めらしい

湿気を含んだやさしい朝

遥か遠くまで、幾重にも連なる稜線が

まるで波のようにうねっています

咲ききって頭を垂れている水仙が露に濡れ

甘く甘く香っています

地面からは春の水の匂い

この柔らかい風景に身を浸します










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山霞 F10 2013年










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春霞 65.2x91(cm) 2009年 個人蔵










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川逍遥 2013年 個人蔵










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ひだまりの森 44×22.5(cm) 2012年 個人蔵










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2019年










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こもれび小路 F0号 2011年










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水の森 2009年










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森の生活 22.8x16(cm) 2010年 個人蔵








































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Top▲ | # by migiwa_blog | 2016-11-29 00:00 | 春霞 こもれび
夜逍遥




夜の土の匂いは大地の懐

包まれるような

水を含んだ密度のある空気と

土を踏みしめれば

懐かしい香ばしい稲藁の匂い

夜の水音に誘われて

ひとり

夜に彷徨い歩く





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山懐に抱かれる 2013年個人蔵









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夜に抱かれ夜に彷徨う 65.2×91(cm) 2013年










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晩鐘 39×90(cm) 2013年









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夕べの祈り 25×80(cm) 2011年個人蔵










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故郷の灯  32×41.2(cm) 2014年











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逍遥歌 2013年









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遠くの灯 2008年 個人蔵








































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Top▲ | # by migiwa_blog | 2016-11-28 00:00 | 夜逍遥
海の記憶

私にとって絵を描き続けるということは

無限の可能性の道を歩み続けてゆくということであり

時には思いもよらぬ光景に出くわしながら

遠く遥かに広がる故郷の海へ帰っていくことです





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「私の助けは山の向こうから来る」  165×296cm 1999年










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「天国の門」  148×413cm 2001年 北海道立釧路芸術館蔵










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「雨」  70.5×116.8cm 2001年 個人蔵










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「光の海」  80×92.2cm 2000年 個人蔵










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「天上の海」  91.2×135cm 2000年 個人蔵










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「故郷の夢」  91.2×135cm 2000年 個人蔵







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「私はここでもうすでに長く待っている」  124×183cm 1999年 個人蔵














「裸の心」 

私は学校を終えてすぐ、小さな車に家財道具一式をつめこみ、フェリーではるばる沖縄本島よりもっと先へ渡りました。行き先は「石垣島」八重山諸島のうちのひとつです。島の周囲は約162キロ、年間平均気温は24.0度と暖かく、サトウキビ畑と美しい珊瑚礁に恵まれた宝石のような島でした。そこで働きながら古い一軒家を借りて、絵を描くために1年半ほど住んでいたのです。

そもそもの島との出会いは学生時代でした。一度行ったらその空にすっかり魅せられてしまったのです。その後は毎年夏休みになると、小型バイクを持って島に渡り、1〜2ヶ月キャンプ場にテントを張って滞在しました。海が間近のそのキャンプ場で朝夕、雲や海をせっせとスケッチしていました。東京育ちの私がずっと考えていたことなのですが、ダイレクトに自然の中に身を降ろして生活をし、この土地で制作をしてみたいというのが、島に住んだ大きな目的でした。

石垣島での日々、海を目の前に眺めながら生活していると不思議な感覚を味わいました。それは、自分の心が裸にされるような、何も隠せないむき出しの心を見てしまうような・・。目に痛いほど鮮やかな海や、しけに怒り狂う波、まっ赤に燃える雲。それらを見ていると日常がすぅーっと遠くへ引いていき、心の奥底に眠る気持ちにイヤでも触れてしまうのです。覆い隠すものがない研ぎ澄まされた光景のなかで、本当にたくさんの、自分自身の感情に出会うことの出来た時間でした。

そんな思いの詰まった一年半、島のことはいつ思い出しても焦がれるように懐かしく、まるで自分の一部分を置いてきてしまったような気持ちにさえなってしまいます。








































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Top▲ | # by migiwa_blog | 2016-11-27 00:00 | 海の記憶
水を揺るがす

自分のまわりを包むやさしくて壮大で果てしない自然に身も心もゆだねる

私はまるでその自然の一部分でありたい

私は絵をかくことにより自然に溶け込み

そして魂の水脈に触れるのだ





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風のきよら 80×183(cm) 2003年 個人蔵










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野を通り抜ける 80×183(cm) 2003年 個人蔵










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水を揺るがす春 92.2×141(cm) 2004年 










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春の木立ち 2004年 個人蔵 










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春の森 2004年 個人蔵 










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 2006年 個人蔵 










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 2006年 個人蔵 










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 2006年 個人蔵 










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水を揺るがす春 2004年 個人蔵 








































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Top▲ | # by migiwa_blog | 2016-11-26 00:00 | 水を揺るがす
雨の森

雨後のしっとりとした肌にまとう空気のなか

ああ、わたしは毎日こうやって夕べに川辺を歩きたいと思うのです

川を渡る風を頬にあてていると、なぜこんなに懐かしいんだろう?

せせらぎの音を聴いていて飽きることはありません

水に近い目線でながめていると

その水がひたひたと入ってきて心をみずみずしく冷やすようです

水面を眺めていればたくさんの記憶がよみがえり

心の奥底に沈む何かが揺さぶられます

物思いにふけると

わたしの心身も水で充たされていることを知ります

わたしの中の水面がさざなみ

満ちているのを知ることができます






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森の客間 個人蔵 59.4×84.1cm 2007年












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雨の森 40×180cm 個人蔵 2007年












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さんざめく森 40×180cm 2007年












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遠い記憶(部分) 37×160cm 2009年












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雨の森 2007年












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雨の森 2007年








































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Top▲ | # by migiwa_blog | 2016-11-25 00:00 | 雨の森
さんざめく野原

ねむけをさそう花の匂い

野の土の下から 

春の予感にはちきれんばかりの歓喜と期待で

地中が脈打つのが聴こえる





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さんざめく野原 2007年 個人蔵













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さんざめく野 F30号 2007年













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さんざめく野の予感 40×150(cm) 2007年













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さんざめく野原 2007年













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予感する山野 F25号 2007年













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山河が兆しを唄う 59.4×84.1(cm) 2007年













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風光る山野 40×150(cm) 2007年








































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Top▲ | # by migiwa_blog | 2016-11-24 00:00 | さんざめく野原
流転

雲が海の上を無言でゆっくりと荘厳に連れ去っていく

雨を従え

ゆっくりと西へ

光の脚を従え

雲が私の頭をこえてどんどん西へ流れていく

雨がふったりやんだり

流動したり

海の上をたくさんのみえない手が

まるで指先のつめで水面を掻くようなすごいスピードで

どんどん風が走っていく

それをみていると風のスピードがわかる

神のてのひらが海をなでる





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神様の手のひら 180×312(cm) 2008年












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優しい雨 7200×150(cm) 2007年












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(右)屋根なきあらか 180×65(cm) 2007年
(左)天のとばり 180×65(cm) 2007年












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(右左とも)屋根なきあらか 90×45(cm) 2007年












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(右左とも)旅人は故郷を目指す 180×45(cm) 2007年












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(右)天の羽衣 80×35(cm) 2013年
(左)小夜風 180×35(cm) 2013年












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(右)白南風 80×35(cm) 2013年
(左)天のとばり 80×35(cm) 2013年








































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Top▲ | # by migiwa_blog | 2016-11-23 00:00 | 流転
川を辿る

日暮れ 薄暗くなればなるほど

すべてのつながりがみえてくる

薄暮の空 雲を映した白い川面と暗い野原 すべてのつながりが腑に落ちる

壮大なひとつの世界をみせてくれる


大地が低い音で呼吸しはじめるのが聴こえる

温度を持った 大きな生き物の上にいるのだ

大地はゆっくりと根を張り

隅々までを潤すために

透き通った水の道を通していく





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川音を辿る 72.7×50(cm) 2013年










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大地がゆっくりと呼吸している 40×180(cm) 2007年










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夕べの祈り 25×60(cm) 2003年 個人蔵










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一人で辿る旅路 60.6×80.3(cm) 2003年個人蔵










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夕べの祈り 2006年 個人蔵










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夕べの祈り 2006年 個人蔵











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大地がゆっくりと呼吸している 90×40(cm) 2007年










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大地がゆっくりと呼吸している 4枚組 2009年










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川を辿る 2011年










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川を辿る 2011年








































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Top▲ | # by migiwa_blog | 2016-11-22 00:00 | 川を辿る
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